01
営業の長期インターンとは
学生が任される仕事の範囲
営業の仕事は、お客様を見つけ、話を聞き、提案し、契約や導入につなげ、その後のフォローまで続く一連の流れです。長期インターンでは、その全部を最初から一人で任されるとは限りません。一部の工程から担当し、慣れてきたら範囲が広がる形もあります。
たとえば、次のような仕事が考えられます。どの工程をどこまで任されるかは、企業や部署、本人の習熟によって変わります。
- 見込みのお客様のリサーチやリストづくり
- 電話・メール・オンラインでのアプローチ
- 商談の準備(資料づくり、想定質問の整理)と、商談への同席
- ヒアリングや提案の一部の担当
- 契約後のフォローや、記録・報告の整理
「アルバイト」「インターン」という名前では決まらない
営業の仕事を「アルバイト」と呼ぶ企業もあれば、「長期インターン」と呼ぶ企業もあります。ただ、名前だけで仕事内容や成長の機会が決まるわけではありません。同じ営業でも、決められた手順をこなす仕事が中心の職場もあれば、考えて提案する場面を任される職場もあります。
名前よりも、次の点を見て比べるのが確実です。
- 実際に任される仕事(どの工程を、どのくらいの裁量で)
- 育成の仕組み(研修、先輩や社員からのフィードバックの頻度)
- 目標や評価の持ち方(何を基準に振り返るのか)
- 負担の大きさ(件数や数字の目標、勤務時間)
これらは求人ページの記載や、応募前の面談で確認できます。
02
営業の種類は「顧客」と「営業方法」の2軸で考える
「個人営業」「法人営業」「インサイドセールス」といった言葉が並ぶと、別々の種類に見えます。ただ、これらは同じ基準で分かれているわけではありません。整理すると、次の2つの軸で考えると見通しがよくなります。
- 顧客の違い:誰に売るのか(個人のお客様か、企業か)
- 営業方法の違い:どうやってお客様と接点を持つのか(電話、オンライン、訪問、来店・店頭など)
実際の仕事は、この2つの組み合わせです。たとえば「法人向けに、電話とオンライン商談で営業する」「個人向けに、訪問や対面で提案する」といった具合です。求人を見るときも、「どんな相手に、どんな方法で」営業するのかを分けて読むと、仕事のイメージがつかみやすくなります。
表1 顧客の違い(誰に売るか)
| 個人のお客様 | 企業のお客様 | |
|---|---|---|
| 主な相手 | 商品やサービスを自分で使う個人 | 企業の担当者や、決裁に関わる人 |
| 決めるのは | 本人や家族が決める場合がある | 社内の担当者に加えて、上司や関係部署が関わることがある |
| 商談で意識すること | お客様の事情や気持ちに寄り添ったヒアリング | 相手企業の事業や課題の理解、費用対効果の説明 |
| 準備でやりがちなこと | 商品知識、よくある質問への答えの整理 | 企業のリサーチ、提案資料の作成 |
| 大変になりやすい点 | 個人の感情や都合に左右されやすい | 検討に時間がかかり、結果が出るまで間が空く |
主な相手
決めるのは
商談で意識すること
準備でやりがちなこと
大変になりやすい点
表2 営業方法の違い(どうやって接点を持つか)
| 電話 | オンライン | 訪問 | 来店・対面の接客 | |
|---|---|---|---|---|
| 特徴 | 短い時間で、複数の相手と話せる場合がある。声だけで伝える | 画面共有で資料を見せながら話せる。移動がない | 相手の場所に出向き、じっくり話せる | 来てくれた相手に、その場で対応する |
| 身につきやすい力 | 要点を短く伝える力、切り替えの早さ | わかりやすい説明、資料の見せ方 | 関係づくり、場の読み方 | 観察力、その場での提案力 |
| 大変になりやすい点 | 断られる場面があり、気持ちの切り替えが必要 | 相手の反応が読み取りにくい。通信環境の準備が必要 | 移動の時間と交通費の扱いを確認したい | 勤務する時間帯が決まっている場合がある |
特徴
身につきやすい力
大変になりやすい点
03
仕事の進み方(例)
営業の仕事の流れは、企業や商品によって異なります。ここでは、イメージをつかむための一般的な例を示します。実際の求人では、担当する工程が異なる点に注意してください。
- 01調べる・準備するお客様や企業のことを調べ、話す内容や資料を整えます。
- 02接点をつくる電話・メール・オンラインなどで連絡し、話を聞く機会をつくります。
- 03話を聞く(ヒアリング)お客様が困っていること、望んでいることを聞きます。
- 04提案する聞いた内容をもとに、商品やサービスをどう役立てられるかを説明します。
- 05結論をいただく検討の結果を受け取り、契約や次の約束につなげます。
- 06振り返る・フォローするうまくいった点・いかなかった点を記録し、次に活かします。
04
身につく力と、その伝え方
身につきやすい力
- 聞く力・質問する力:相手の話から、本当に困っていることを見つける力。
- 整理して伝える力:複雑な内容を、相手の立場に合わせてわかりやすく説明する力。
- 数字や進捗を管理する力:件数や目標を見ながら、次の一手を考える力。
- 断られても立て直す力:うまくいかなかった理由を振り返り、次に変える力。
ただし、これらは「営業のインターンをすれば自動的に身につく」ものではありません。振り返りやフィードバックの機会があるか、自分で工夫を試せるかによって、得られるものは変わります。
就職活動や選考で伝えるときのコツ
インターンの経験は、「何をしたか」だけでなく、「どう考え、どう工夫し、何が変わったか」を話せると伝わりやすくなります。たとえば次の順番で整理してみてください。
- 任された仕事と、その目的
- うまくいかなかった点と、その原因の考え方
- 試してみた工夫と、その結果(数字でも、周囲の反応でも構いません)
- そこから学んだことと、次にどう活かすか
大きな成果がなくても問題ありません。事実に基づいて、試行錯誤の過程を具体的に話せることが大切です。実際になかった成果を盛って伝えるのは避けましょう。
05
大変な点と、負担への向き合い方
営業は、やりがいがある一方で、負担を感じやすい仕事でもあります。応募前に知っておくと、判断しやすくなります。
負担になりやすいこと
- 断られる・反応がない:連絡しても返事がなかったり、断られたりする場面もあります。個人への否定ではなく、仕事の性質として起こることです。
- 数字や目標との向き合い方:件数や成約などの目標がある場合、結果を意識する時間が増えます。目標の置き方や、達成できなかったときの扱いは企業によって違います。
- 覚えること:商品やサービスの知識、話し方、使うツールなど、慣れるまでに学ぶことがあります。
- 報酬の形:時給に加えて成果に応じた報酬(インセンティブ)がある場合、条件の理解が大切です。報酬の形は求人によって異なるため、求人ページで内容を確認してください。
しんどくなったときの考え方
慣れないうちは、うまくいかなくて当たり前の部分もあります。ただ、無理を続けるのはおすすめできません。次のような場合は、一人で抱え込まず、担当の社員や相談できる人に早めに伝えましょう。
- 任された量や目標が、勤務時間や学業との両立に対して明らかに多い
- やり方がわからないまま、質問しづらい状況が続いている
- 体調や気持ちに影響が出ている
応募の段階で、「困ったときは誰に相談できるか」「面談や振り返りの機会はあるか」を確認しておくと安心です。
06
学業との両立を具体的に考える
長期インターンは、一定の期間、続けて働くことを前提とする求人があります。授業、試験、就職活動、サークルやアルバイトとの兼ね合いを、始める前に具体的に考えておくと、続けやすくなります。
時間は「勤務時間」だけで考えない
実際に使う時間は、勤務時間に加えて、通勤(または準備)の時間や、自分の判断で行う予習・振り返りの時間も含みます。一方、会社から指示される事前準備や研修は、自分の判断で行う予習・振り返りとは別のものとして考えます。
確認しておきたい場面
- 試験期間:勤務日を減らしたり、休んだりできるか。事前にどのくらい前に伝えればよいか。
- 授業の時間割:授業の曜日・時間帯と、勤務できる曜日・時間帯が合うか。シフトを相談できるか。
- 就職活動の時期:説明会や面接の日程と重なったときに、調整できるか。
- 長期休みの扱い:休み中に勤務日を増やす想定があるか。反対に、旅行や帰省で休めるか。
- 勤務のしかた:出社が必要か、オンラインで働けるか。移動の負担はどのくらいか。
「両立できるか」は、一般論では決まりません。自分の時間割と、企業のシフトの柔軟さを照らし合わせて判断するのが確実です。
07
応募前に確認したいことと、聞ける質問
チェックリスト
- 任される仕事の範囲どの工程を、どの順番で担当するのか
- 育成と研修研修の有無・期間、その間の給与の扱い、質問や相談の窓口
- 会社から指示される準備や研修の扱い勤務時間に含まれるか、報酬の対象か
- 報酬の形時給の条件と、インセンティブがある場合はその条件を分けて確認
- 勤務日数・時間帯・シフトの相談しやすさ試験期間や就職活動期の扱いを含む
- 営業の相手と方法個人か企業か、電話・オンライン・訪問など(表1・表2の軸で確認)
- 目標や評価の持ち方数字の目標があるか、どのように振り返るか
- 契約の形と労働条件の書面雇用契約か、それ以外か。条件を書面などで受け取れるか
応募前に企業へ質問できる例
面談や選考の場で、次のような質問ができます。聞くことは失礼ではなく、入ってからのミスマッチを減らすために大切です。
- 入って最初の1か月は、どんな仕事を、どの順番で任せてもらえますか。
- 研修はありますか。ある場合は、期間と、その間の給与の扱いを教えてください。
- 会社から指示される事前準備や研修の時間は、勤務時間として扱われますか。報酬の対象になりますか。
- 先輩や社員の方から、フィードバックをもらう機会はどのくらいありますか。
- 営業の相手は、個人のお客様と企業のどちらが中心ですか。連絡の方法は、電話・オンライン・訪問のどれが多いですか。
- 数字の目標はありますか。ある場合、達成できなかったときはどのように振り返りますか。
- 試験期間や、就職活動の時期には、シフトをどのように調整できますか。
- 困ったときは、誰にどのように相談できますか。
- 契約の形(雇用契約かどうか)と、労働条件を書面などでいただけるかを教えてください。
08
「インターン」でも確認したい、働くうえでのルール
「インターンだから」「学生だから」という理由で、働くうえでのルールが別になるわけではありません。ここでは、応募前に知っておきたい基本を、公的な資料をもとに簡単に説明します。個別の判断は、実際の働き方や契約の内容によって異なります。
- 労働者かどうかは、名目ではなく実態で判断されます。厚生労働省は、労働基準法でいう「労働者」を、事業に使用されて賃金を支払われる者としています。契約が請負や委任という形になっていても、実態として労働関係が認められれば労働者にあたるとしています(参考資料1)。「インターン」という名称だけで、どちらかに決まるわけではありません。
- 最低賃金は、呼び名に関係なく労働者に適用されます。厚生労働省は、地域別最低賃金は、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託など雇用形態や呼称に関係なく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されるとしています。原則として最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります(参考資料2)。現在の金額は、厚生労働省の最低賃金特設サイトで都道府県ごとに確認できます。
- 労働条件は、契約のときに明示されます。使用者は、労働契約を結ぶときに、賃金、労働時間などの労働条件を明示しなければなりません。契約期間、働く場所と仕事の内容、始業・終業の時刻や休憩・休日、賃金の決め方・支払い方などは、書面で受け取ることが必要な項目とされています(参考資料3)。原則は書面ですが、本人が希望し、受け取った内容を書面として出力できる場合は、FAX・電子メール・SNSのメッセージなどで受け取ることもできます(参考資料4)。
09
応募から始めるまでの流れ
流れは企業によって異なります。一般的には、次のような順番で進みます。
- 01求人を探す営業の長期インターン求人で、仕事内容、勤務日数、勤務地などの条件を比べます。
- 02応募する応募フォームや、企業が指定する方法で応募します。
- 03書類・面談などの選考を受ける選考の内容は企業によって違います。ここで、前の章の質問をしてみましょう。
- 04条件を確認して、参加を決める仕事内容、報酬、勤務条件を確認し、納得してから決めます。
- 05始める・研修を受ける最初は研修や同席から始まる場合があります。
- 06定期的に振り返る学業との両立を含めて、続け方を見直します。
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よくある質問
営業の経験がなくても、応募できますか。
求人によって異なります。「歓迎する学生」や「未経験者歓迎」などの記載を確認してください。未経験から始める場合は、研修の有無や、先輩に質問しやすい環境かどうかを確認しておくと安心です。
自分は人見知りですが、営業に向いていますか。
向き不向きは、一概には言えません。営業の種類(表1・表2)によって、求められることも違います。話すことよりも、調べたり、準備したり、聞いたりすることが中心の仕事もあります。気になる場合は、どんな業務が中心かを面談で確認してみてください。
授業やテスト期間と両立できますか。
シフトの相談のしやすさは、企業によって異なります。自分の時間割と、勤務できる曜日・時間帯を照らし合わせたうえで、試験期間の扱いを応募前に確認してください。
アルバイトの営業と、長期インターンの営業は何が違いますか。
名前だけでは決まりません。任される仕事の範囲、育成の仕組み、フィードバックの機会、負担の大きさなどを比べて判断してください。
営業以外の職種のインターンもありますか。
募集職種や掲載状況は時期によって変わるため、現在の募集は求人一覧で確認してください。
参考資料
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「労基法は、働く人みんなに適用されるのですか。」
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/zenpan/q1.html(確認日:2026年10月23日) - 厚生労働省「最低賃金制度」特設サイト「最低賃金制度の適用される労働者」
https://saiteichingin.mhlw.go.jp/point/page_point_target.html(確認日:2026年10月23日) - 厚生労働省「採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_4.html(確認日:2026年10月23日) - 厚生労働省「確かめよう労働条件」しっかり学ぼう!働くときの基礎知識「労働条件の明示」
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_roudoujouken.html(確認日:2026年10月23日)
